JICA海外協力隊に参加するには試験に合格する必要があります。
「書類選考」「面接試験(人物)」「面接試験(技術)」の3つの試験があります。
筆者は2023年秋募集で職種「数学教育」と合格しています。
1度で合格しましたが、受けた回数はあまり関係ないと考えています。
この記事ではJICA海外協力隊の選考内容や合格するために行ったことなどを紹介します。
「志望動機はどのようなことを書いたか」「面接では何を聞かれて、どのように答えたか」など、伝えることができる範囲で具体的にすべて伝えます。
あくまでも筆者自身の事例なので、ここに書いたことをすれば必ず合格をするというわけではありません。
参考までにご確認ください。
また、もっとくわしく知りたい内容や疑問点があれば、X(Twitter)のDMもしくはメールをください。
JICA海外協力隊の選考試験は書類選考と面接2回のみ
JICA海外協力隊の選考試験は以下のとおりです。
簡単な流れ
- 1次試験:書類選考(志望動機、語学力審査、健康診断、適性診断など)
- 2次試験:人物面接、技術面接
選考内容としては、そこまで大変ではありません。
筆者自身もJICA海外協力隊について調べる前は、試験がたくさんあって大変なイメージを勝手に持っていました。
「英語で面接するのではないか」「職種によって筆記試験が行われるのではないか」などをかってに考えていました。
対策というか、JICA海外協力隊に参加したいという強い意志を伝えられれば受かります。
それぞれの試験について体験談を踏まえながら解説します。
1次試験:書類選考
正直なところ、この書類選考がかなり重要であると考えています。
書類選考の内容
- 願書・経歴書
- 応募の動機
- ボランティアとは
- 帰国後について
- 経歴や経験を踏まえて現地でできると考える
- 健康診断書
- 語学力審査を証明する書類
- 適性検査
以上のような書類を準備して選考を申し込み、1次試験とされます。
「応募の動機」「ボランティアとは」「帰国後について」「経歴や経験を踏まえて現地でできると考える」は指定の書式に記載して提出します。
また、健康診断書についてもJICAが指定した書類があり、医療機関にお願いして診断してもらい、記入してもらう必要があります。
語学力審査を証明する書類は英検やTOIECの結果だけでなく、インターネットで試験を受けてすぐに結果がわかるGTECの結果でもいいです。
それぞれの書類について実体験を踏まえて詳しく解説します。
願書・経歴書
一般的な願書と経歴書です。
特に変わったことはありませんが、結構書くことが多いので早めに取り組むことをおすすめします。
ここに希望の要請を記述したと思います。
要請についてはJICA公式サイトに掲載されており、自分のやりたいことや言語能力などを踏まえて希望を提出します。
応募の動機・ボランティアとは・帰国後について・経歴や経験を踏まえて現地でできると考える
しっかりと考えて自分の思いを書くことが大切だと思います。
筆者の場合は前職に就いていた時から考えていたことを、世界を視野にいれて思いを記入しました。
例えば、筆者は「数学教育」な志望だったので、「数学の楽しさと重要性を伝える」というテーマで応募の動機を記入しました。
メモ書きが残っていたので紹介します。
メモなので雑に書いていますがこんな感じのことを書きました。
応募の動機
私は、日本だけでなくさまざまな国で数学教育を通して、勉強することの重要性や面白さを多くの子供たちに伝えたいと思い、今回応募させていただきました。
数学という学問は世の中を住みやすくするための根本となる学問だということを子供たちに伝えたいです。例えば、昔の日本人で数学を活用してとても精巧な日本地図を作った人がおり、今でもその地図がもとになっている日本地図は多いです。
それは日本で数学を学んでいた人がいて、その結果世の中を便利にしており、最初から地図を作りたくて勉強をしていたという訳ではないです。このようなことは他の国でも起こりうる話で、数学を勉強していることにより、あることがきっかけで国の発展につながる可能性はあります。
そのような可能性を少しでも大きくするために、勉強したい、学びたいと思う子供たちにはしっかりと数学教育を行い、勉強することの楽しさや重要性を伝えたいです。
「ボランティアとは」については、ボランティアの定義を明確にして、自分の経験や思いを記入しました。
「「ボランティア」という言葉を辞書で調べると、「無償の奉仕」という言葉で説明されています。私は・・・」みたいなかんじです。
ここで紹介した内容についてはあくまでもメモ書きを参考にしており、実際には100倍くらいいいこと書いてます。
みなさんも自分の最高傑作を考えてください。
ちなみに、筆者は1週間くらい内容を考えて記入したと思います。
それが早いのか遅いのかは人それぞれですが。
健康診断書
健康診断はかなり重要らしいです。
たしかに、海外にボランティアにいくのであれば「健康」は必須ですよね。
じつはこれで落ちる方が結構いらっしゃるようです(真偽不明)。
自分の場合は健康診断で引っかかる項目が一つもなかったので、どうにかなっている感じだと思います。
もしかすると健康状態だけで合格している可能性も否定できません(他の能力が低いので)。
短期的にどうにかすることは難しいとおもうので、体調ばっちりの状態で健康診断を受けるしかありません。
また、健康診断の結果によっては、JICAから再検査をお願いされるとのことです。
語学力審査を証明する書類
英検やTOEICの結果、GTECの結果などを提出し、語学力について証明します。
GTECはインターネットで受験して、すぐに結果がわかります。
JICAの選考試験を受けるには、最低でも英検3級以上は必要です。
逆に言えば3級以上であることを証明すれば選考に挑めます。
語学力目安表というものがJICA公式サイトに掲載されており、言語能力を「A・B・C・D」の4段階で診断されます。
例えば、英検3級は言語能力Dで最も下のランクです。
要請書にも必要な言語能力の欄にアルファベットが書かれており、言語能力に応じて希望要請を願書に書く感じです。
筆者はGTECで何とか言語能力Dになる点数をとって提出しました。
「数学教育」はさまざまな要請がありますが、必要な言語能力がそこまで高くなくても希望できる要請が多かったので、これはラッキーでした。
英検やTOEICの結果を持っていない方は、GTECをうけることになると思います。
適性検査|あまり覚えていない
適性検査は対策をしようがないですが、一般的な質問にたくさん答えるみたいな内容だったと思います。
正直あまり覚えていません。
適性検査で変な結果が出ることの多い筆者でも結果的に合格したので、別に大したものではないのだと思います。
ちなみに筆者は昔、自動車学校入校時に行った適性検査で変な結果が出たらしく、教官の方に「適性検査の結果から考えて、あなたは卒業できない」って言われました。
どんな結果かはわかりませんが、結果的にすべて一発で自動車免許を取りました。
就職試験の時も、適性検査で変な結果が出たということを面接時に問われることもありました。
そんな筆者でも結果的に受かっているので、みなさんも何とかなると思います。
2次試験:面接2回(人物・技術)
1次試験に合格したら2次試験です。
「人物面接」「技術面接」の2回面接を行います。
「人物面接」は日時の希望を出せますが、「技術面接」は希望をだせず、1次の結果メールに記載されています。
どちらの面接もzoomで行いました。
それぞれの面接の概要は以下のとおりです(憶測含む)。
面接の概要
人物面接:JICA海外協力隊に参加する人物としての適性をみられる(憶測)
技術面接:希望している職種についての適性を見られる(憶測)
面接で行った対策|要請書・願書・WEBサイトは確認しておいた方がいい
面接は1発勝負であると考えていたので、けっこう準備しました。
例えば、希望を出している要請書について隅から隅まで読み込み、国についてもしらべ、それぞれの要請書に対する志望動機や行いたいことを話せるように準備しました。
書類を出す段階でやっていなかったのかという感じですが、自分は海外で数学を教えられればそれでよかったので、要請書を読み込んだのはこのタイミングでした。
WEBサイトについては面接で聞かれたので、確認しておいた方がいいです。
自分の場合はJICA海外協力隊にずっと興味があって、いままでも頻繁にWEBサイトをみていました。
面接時に「JICAWEBサイトで印象に残っているところは?」って思いがけない質問があってもすぐに答えられました。
人物面接|比較的ラフな感じ
面接官の方は2人でした。
雰囲気はかなりラフな感じです。
質問については、「志望動機」「リフレッシュのしかた」「短所についてどのように改善しているか」「WEBサイトで印象に残っていることは」などを聞かれました。
願書や志望動機をもとに質問される感じです。
筆者が意識したことは「明るくハキハキとしゃべる。一緒に働きたいと思わせる」です。
提出した書類の内容について、字数制限により書けなかった内容を熱く語りました。
要請書をしっかり読んでいたので、面接官の方に「よく調べていますね」って言われたことだけ覚えています。
提出した書類や要請書の内容について、しっかりと話すことができればいいと思います。
というか、最低限のことかもしれません。
技術面接|ラフではない
面接官は2人でした。
筆者は「数学教育」という職種で希望を出していたので、教育についての質問やどのようなことをやってきたかなどを聞かれました。
例えば、「どんなことを意識して授業しているか」「実施した授業の具体例」「これまでに外部へ授業風景を発信したことがあるか」などです。
「数学」よりも「教育」についての質問が多かったです。
技術面接では具体例をしっかりと伝えることを意識していました。
要請書の内容とリンクさせて、大学入試の研究としてやっていたことや実際に行った授業案などを話しました。
ここでも面接官の方に「よく調べていますね」と、同じことを言われました。
しかし、ラフではないですし、どちらかというと睨まれている感じで怖かったです。
教育職ではそういう雰囲気の方は結構いらっしゃるので慣れており、自分の想いは100%近く話せていたと思います。
合格した理由を自己分析
言語能力は最低レベルのD、実績もそこまでない、能力も平凡、適性検査も自信ない感じですが、なぜ合格したのか自己分析をしてみます。
正直なところ、面接を両方終えて受かったと感じていました。
逆に受からなかったらもう無理だなって思っていました。
今の自分を100%近く出せたので。
とにかく、合格した理由を自己分析してまとめると以下のとおりだと考えています。
合格した理由自己分析
- 健康診断の結果がよかった
- 要請書を隅から隅まで読んでいた
- 短所(言語能力)の改善策を実行していた
- 志望理由書などの提出した書類の内容がよかった
- 他の国で働くことについての意味を自分なりに持っている
- 現在進行形で高校教員をしていた
偉そうに書いてしまっていますが、できることをすべてやった感じです。
「短所の改善策を実行していた」というのは、面接時に「英検2次受験待ち」「来月TOEIC受験予定」という状態であることを説明しました。
志望理由書については、自分なりにかなり自信のあるものを提出していました。
他の方にも読んでもらいたいって思えるくらいの内容だったので。
実際は小学生以下の文章だったかもしれませんが、自分だけでも「完璧」と思えるものを提出したほうがいいです。
面接終了から結果待ちまでが長い|結果がわからないまま退職
2月中旬に面接を受けて、合否が発表されるのが4月の中旬です。
筆者は高校で教員をしていましたが、年度途中に退職するということは個人的にしたくなかったので、合否がわかる前の3月末で退職をしました。
実際は年度途中でも退職ができるのですが、生徒への影響を考えると自分にはその選択ができませんでした。
結果として合格できたのでよかったですが、不合格でもどうにかなるかなって楽観していました。
面接終了から合否がわかるまでに約2カ月、そして派遣までに1年以上を要します。
この期間での自己管理がとても難しいとおもいます。
合格後の派遣までの約1年の筆者の予定|生活費とスペイン語
筆者は退職してすぐに、開業届をだして個人事業主として生活費を稼いでいます。
WEBライターというものがあって、ネット上に掲載する文章の制作依頼を受けて報酬をもらうという感じです。
月10万円くらいです。
退職金や貯金などもありますが、お金は一瞬でなくなりますから、すこしでも稼ごうとおもって開業届を出しました。
家でしか働きたくない方は「WEBライター」で調べたらいいと思います。
ちなみに月10万円は結構頑張っている方です。
また、ドミニカ共和国ではスペイン語が使われるので、スペイン語の勉強をかなり必死に行っています。
今後は数学や教育について改めて勉強しなおすつもりです。
まとめ
ここでは合格する方法みたいに偉そうに書いていますが、まだ派遣されていない人間なので、なにも成果がありません。
一応形だけでも合格したということなので、「まずは合格」を目指している方の参考になればと思います。